名前を付けて保存

毎日何かしらに名前を付けて保存しているOLの日記

ぎゅーぎゅートレイン

大好きだった冬休みが去ってしまい、いつの間にか毎日真顔で働くことが日常、大都会・TOKYOの満員電車もまた日常に戻ってしまいました。

いつも思うけど、毎日あんなにひどい目に遭っておきながら、会社に着く頃にはわりとすっきり忘れているのは何故なんでしょう(私だけ?)。

初めて東京の通勤ラッシュに飛び込まなければならなかった日なんて「こんなもんに普通の顔して乗ってる人たち、絶対全員正気じゃねぇ」と、東京の会社員や学生の狂人っぷりにぶるぶる震えたものです。聞くところによると、通勤ラッシュの圧で肋骨を骨折した人なんてのもいるらしいじゃないですか。

その話を私に聞かせてくれたのは前の会社の上司だったのですが、まさに上京したてで「えええええ東京こわいですねぇぇぇ」と素直に口に出しかけた当時の私に、彼女はさらりと言いました。

 

「まぁそれはそれでどんだけ弱いんだよとも思うよね」

 

!!

 

アッ、そっち!!!笑

 

東京で働くということは、やわな気持ちじゃいけないんだなぁと学んだ瞬間でした。

ちなみにその上司はとっても小柄でとっても細い、それこそぎゅうぎゅう押されたら折れてしまいそうな、大変かわいらしい人でした。

だがしかし後に私は彼女にビシバシ鍛えられることにもなるのですが(仕事のできる超かっこいい上司でした。これほんとおべっかとかじゃなく今でも大好きで尊敬している人です)笑、その時に、なるほどあの時の発言のストイックさはこんなところから…としみじみ感じたりもしたものです。

もちろんですが、その骨折した方を悪く言うつもりも否定するつもりも全然ないYO☆

 

でも、満員電車のように人の多く集まる場所では、良くも悪くも信じられない事、起こりがち。

身近なところで言いますと私の妹は各停の2~3駅乗ってるだけの間にリュックから財布をとられたし(でもこれはリュックをおろして抱きかかえてなかったのも悪い)(その上をいって悪いのはその泥棒ですが)、リュック問題といえば友人の会社の人は、毎日同じ車両に乗ってくる、どんなに混んでても絶対にリュックをおろさない人に長年ずっとムカついていたそうです。

シンプルに場所とるし、何より、痛いよね、あれ。リュック本人じゃなくて周りが。とは私も思う。

そして友人の会社の人は、ある日決行したそうです。

気づかれないように、そろーりそろーり、ゆっくりと、少しずつ、リュックのファスナーを開けていく。そしてそのリュックが降りる駅で、降りたところで、とんとんと肩を叩き、善人面でにっこりと微笑み、足元を指さし「何か落としましたよ」。

そのリュックがエッ、と下を向いただかしゃがんだ時に、リュックの中身がどさどさー!という寸法。

友人の会社の人は「ついにやってやった」と満足げに語っていたそうです。

まぁさすがにこれには賛否両論あるでしょうが、でもそんなギャフンと言わせ方があるのか…というのは深く心に焼き付きました。最初の方に「わりとすっきり忘れる」とか書いたけど、そうでもない人もいるんですね。

いくら知らない人ばっかりといえど、いや、知らない人ばっかりだからこそ、配慮し合う気持ちはものすんごく大切。。

 

そう、東京にきて驚いたのは「お客様同士のトラブル」で、日常茶飯事に電車が遅延すること。

これはけっこう本気でびっくりしたし、悲しきかな、この目でも、揉めている人たちを見て朝からぐったりしたりすることもしばしばです。

怒鳴りあうオッサン同士、1人がガチキレしてて1人が素無視してる若いサラリーマン同士、女性専用車両で取っ組み合いにまで発展したオバサンと若い女子を見たときはさすがに目を見張りましたが、ちょうど停車していた時、取っ組み合いの勢いで若い方のメガネがポーンとはずれ、電車とホームの間に落ちたときは同じ車両にいた人全員が「うそやろ」みたいな顔をしていました。

あそこまでいくと、もはやエンタメでした。

さすがに駅員さんも駆けつけ、2人とも降りてください、となり。

2人ともその駅で降りた…かと思いきや、電車発車間際、閉まりかけたドアに、その若い彼女はするりと飛び込んできました。その、あまりにも華麗なこと。けど、え、メガネ、ええの?

一瞬の出来事に他の乗客はさらにしん、としました。動き出す電車。動く窓からゆっくりと見えた、ケンカ相手のおばさんのあんぐりと開いた口の形は忘れられません。けど、メガネ、ええの?

 何事もなかったかのように走行する電車内で、また何事もなかったかのようにスマホをいじりだす若い彼女(メガネなくても見えるんやね)。自分のメガネよりもこの先に待っているであろう不毛な時間を回避することを選んだ潔さとクレバーさは、何だかこちらまで清々しくなるものさえありました。

 

もちろんこんなアレな話ばっかりじゃなく、私は、人の優しさや触れ合いに感動したことも何度もあります。「東京、捨てたもんじゃない…!」って目頭が熱くなったこと、たくさんあります。

だけど、つらいとき、悲しいとき、ふと思い出して私をフフッとさせてくれるのは、あの、スローモーションのように電車とホームの間に落ちていったメガネだったりもするのです。